2019年1月24日木曜日

ストラスブール出張:欧州評議会、ストラスブール大学

第二次世界大戦の惨禍を経て、人権・民主主義・法の支配という理念を基盤として欧州の復興・統合を目指そうという目的で創設されたのが欧州評議会です。その後に創設されたEUは、経済を含め包括的な領域での統合・協調のメカニズムですが、欧州評議会は「人権・民主主義・法の支配」という「普遍的価値」の実現に特化した歴史のある枠組みです。EU加盟国だけではなく、ロシア、東欧諸国、バルカン半島の国々、トルコなども加盟し、社会経済政治状況も歴史も多様ですが、人権に関する国際基準を条約や協定という形で設定しています。日本は、冷戦終結後の1996年にオブザーバー国として加盟。日本もサイバー犯罪に関する条約などを批准しています。

今回は、欧州評議会の「議員会議」(加盟国の国会議員によって構成されている諮問機関のようなもので、年に4回、1週間程度の本会議が開催されているそうです)の会期中に、欧州評議会の重要テーマである「女性の人権、ジェンダー平等」について、日本の外交/国際協調および国内における女性活躍推進施策のパネル展示会を開催するということで、パネル展示のオープニング・セレモニーにて基調スピーチをさせていただきました。

1月21日(月)
・ 欧州評議会「日本の女性活躍推進」パネル展示会のオープニングセレモニーでのスピーチ
佐藤総領事とモリー=パスキエ欧州評議会銀会議議長












欧州各国から多くの議員の方々がオープニングに出席


















・欧州評議会パスキエ議長らへの表敬・意見交換
バッタイニ=ドラゴーニ欧州評議会事務局次長への表敬

















1月22日(火)
・ 欧州評議会議員会議「平等および差別禁止に関する委員会」における発表(「Japan: Gender Equality and Women's Empowerment」)と、質疑応答・意見交換
・ 欧州評議会の広報メディアでへのインタビュー出演
・ 欧州評議会事務局への表敬・意見交換

1月23日(水)
・ 国際人権研究所ルネ・カサン財団への表敬訪問
・ ストラスブール大学での講演「Japan's Commitment to Gender Equality and Women's Empowerment」
ストラスブール大学にて講演

多様な価値観・宗教観・政治制度を背景とする国々が集まり、議論し、人権に関する共通基準を設定し、進捗状況をモニタリングする、実施の仕方については情報交換をするというプロセスは大変興味深く、勉強になりました。欧州評議会議員会議でも、ストラスブール大学でも、質疑応答ではたくさんの手が挙がり、様々な質問が出ました。

  • 日本政府は対外的に素晴らしい取り組みをし、安倍総理の掛け声で国内施策も打ち出されているのに、世界経済フォーラムのグローバル・ジェンダー・ギャップ指数で110位。どのように理解すれば良いのか?
  • 日本政府の施策は「経済的」側面を強調しすぎではないのか?(人権はどこに入っているのか?)
  • 国連安保理決議1325号を含む女性と安全保障に関する決議の日本の国内行動計画の力点は?
  • 男女間の賃金格差の問題は、マクロ経済の観点からはどう捉えられているか?
  • 日本でジェンダー平等がなかなか実現できないのは、それが「西洋のもの」という誤解があるのではないか?
  • なぜ、男性によるケア労働(家事・育児・介護など)への関与が進まないのか?
  • 昨年施行されたという政治での男女均等を促す法律とはどういうものか?クオータではないのか?
↑はほんの一部で、他にもたくさんの質問が。限られた時間で答えるのが大変でしたが、本質的な質問がガンガン、しかもストラスブール大学では質問してくれた5人のうち4人が実に男性で、もっと双方向にディスカッションできたら面白かったのに、フランスや欧州議会加盟国の直面している困難やそれらをどのようにクリアしようとしているか意見交換できたらよかったのに・・・と思いました。が、大変、手応えがあったので、今後、セミナーやダイアログのような形での課題・経験・知見の共有の場が開催されることを期待しています。


欧州評議会の持っている知見・経験は、日本国内で国連女性差別撤廃条約の履行をより一層進めて行くにあたり、大いに参考になるだろうと思いました。加盟国には価値観・宗教観が異なる国家が多く入っており、基準の設定の仕方や言葉の使い方に様々な配慮がなされていることがよくわかるからです。イスタンブール条約(女性に対する暴力およびドメスティック・バイオレンス防止条約。内閣府男女共同参画のHPにこの条約の作業部会のメンバーだったクリス・グリーン氏の報告資料が)の制定過程、条約の内容、監視のメカニズムは学ぶところが多いかと思います。是非、今後、女性の人権や暴力撤廃に関して、欧州評議会との対話や情報・知見の共有や人材交流(特に日本の若い世代のアクティビスト、NGO、研究者、実務者)が進むと良いなと思いました。

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